ひとりごと これでいいのか国家予算
(毎週月曜日に社員向けに社長新聞を発行しています。その末尾の記事、「ひとりごと」を転載します。
世間の出来事をいろいろな側面から見てみようという意図もあるので、かなり偏った表現もありますが、ご容赦ください。 増田昭雄)
2019年度の国の予算案の概要が決まりました。初めて100兆円を超えた大型予算です。大型になった原因は社会保障費が増え続けることと9月から消費税が10%になるのに対する対策をたくさん盛り込んだからです。
景気が堅調なこんな時にこそ、一気に国債の発行を押さえて1100兆円もある債務を減らし、少しでも財政を健全化させねばならないのに、キャッシュレスポイントや幼児教育の無償化などに新たに多くの歳出を付け、ばらまき、ブクブクの予算になってしまいました。
財政の健全化の過程として、新たに起こす借入が返済する額を下回るようにするのが第一歩(プライマリーバランスの黒字化)で、安倍首相はかつて2020年までにこれを達成すると言っていたのですが、2025年に先送りし、右の表にあるようにまだ新規の借り入れが9兆円以上も増えている状態です。
さらに、毎年秋になると補正予算、第2次補正予算と称して、兆円単位の歳出が増えます。
今は国債につく金利が低いのですが、これが上昇を始めると、ますますたいへんなことになります。
EUでは、加盟国の債務はGDP(国内総生産)比3%以内にとどめるよう規定しています。フランスは2.8%と危険値に近づいているために、マクロン首相は増税と補助金のカットを強行しましたが、「黄色いベスト」という市民団体などの暴力的な反対にあい、苦しんでいます。為政者として財政の規律とはそれほど大切なことなのです。
それに反して、日本の債務はGDP比3.8%だそうです。我が国の首相や政治家の何と無責任なことか、国の将来をどう考えているのでしょうか。私は改憲問題を含む多くの政策、外交で安倍首相を評価します。しかし、国の将来を決める財政のことと、以前この場でも言った長期政権の弊害を考慮すると支持しない、即刻辞めていただくべきだと考えています。